5月16日、政府は、年金制度改革法案(「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を閣議決定、国会に提出ししました。
案には公的年金制度とともに、私的年金制度の見直しが盛り込まれており、ここでは、施行期日順に改正の概要を紹介します。
【公的年金制度】
●公布日:報酬比例部分のマクロ経済スライドによる給付調整を、配慮措置を講じた上で次期財政検証の翌年度まで継続する 等
●令和8年10月1日:被用者保険の適用拡大に伴い、保険料負担割合を変更することで労働者の保険料負担を軽減できることとし、労使折半を超えて事業主が負担した保険料を制度的に支援する
●令和9年9月1日:厚生年金保険等の標準報酬月額の上限を段階的に引き上げる@(68万円へ引上げ)
●令和9年10月1日:短時間労働者の適用要件のうち、企業規模要件を段階的に撤廃する(令和9年10月1日から令和17年10月1日までの間)
●令和10年4月1日:@ 18歳未満の子のない20〜50代の配偶者を原則5年の有期給付の対象とし、60歳未満の男性を新たに支給対象とする。これに伴う配慮措置等として、5年経過後の給付の継続、死亡分割制度および有期給付加算の新設、収入要件の廃止、中高齢寡婦加算の段階的見直しを行う
A 子に支給する遺族基礎年金について、遺族基礎年金の受給権を有さない父母と生計を同じくすることによる支給停止に係る規定を見直す
B子に係る加算額の引上げ等を行いつつ、老齢厚生年金の配偶者加給年金の額を見直す
●令和10年9月1日:厚生年金保険等の標準報酬月額の上限を段階的に引き上げるA(71万円へ引上げ)
●令和11年9月1日:厚生年金保険等の標準報酬月額の上限を段階的に引き上げるB(75万円へ引上げ)
●公布から3年以内の政令で定める日:短時間労働者の適用要件のうち、賃金要件を撤廃する
●公布から5年以内の政令で定める日:在職老齢年金制度の支給停止基準額を50万円(令和6年度価格)から62万円に引き上げる
【私的年金制度】
●公布から3年以内の政令で定める日:iDeCoの加入可能年齢の上限を70歳未満に引き上げる
●公布から5年以内の政令で定める日:企業年金の運用の見える化(情報開示)として厚生労働省が情報を集約し公表する
同日の厚生労働大臣の会見においては、法案について次のような発言がありました。
被用者保険の適用拡大のほか、在職老齢年金制度の見直しやiDeCoの加入可能年齢の上限の引上げなど、将来の受給者の給付も充実させながら、現在の受給者の年金の増額措置も盛り込んでいるところです。この国会において速やかにご審議をいただくよう、お願いしたいと考えています。なお、ご指摘の基礎年金の底上げ措置につきましては、法案の早期提出を重視し、今回の法案に具体的な仕組みは規定していませんが、就職氷河期世代以降の方が年金を受けるのは2030年代半ば以降であり、その間も、引き続き、就職氷河期世代を念頭に置いた様々な支援を行いながら、次の財政検証の結果も踏まえて、必要な措置を検討してまいりたいと考えています。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/217.html
令和7年5月16日(金)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2025/kakugi-2025051601.html
議案審議経過情報
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DDF07E.htm