9月20日、第18回社会保障審議会年金部会が開催され、次期年金制度改正に向けた議論が行われました。
次期年金制度改正に関しては、前回(7月30日開催)、令和6(2024)年財政検証結果を踏まえ、次のように考え方や方向性が示されています。
【見直しの基本的な考え方】
●働き方に中立的な制度を目指すとともに、ライフスタイル等の多様化を年金制度に反映しつつ、
●高齢期の経済基盤の安定や所得保障・再分配機能の強化を図る
【対応の方向性】
●働き方に中立的な制度の構築
●ライフスタイル等の多様化への対応
●平均寿命の延伸や基礎年金の調整期間の長期化を踏まえた、高齢期の経済基盤の安定、所得保障・再分配機能の強化
●業務運営改善関係・その他所要の事項への対応
今回は、次の4項目に関する検討が行われました。
●働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方
→ 短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方
• 労働時間要件
• 賃金要件
• 学生除外要件
• 企業規模要件
→ 個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方
→ 多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方
• 複数の事業所で勤務する者
• フリーランス等
●国民年金保険料の納付猶予制度
→ 被保険者の対象年齢の要件は現行どおり(被保険者が50歳未満であること)とした上で、時限措置(注)を延長することを検討してはどうか
→ 納付猶予制度の延長に際しては、制度の基本的な考え方は維持しつつ、所得要件については、本人および配偶者の前年の所得が一定額以下であっても、保険料納付の原則に立ち返って世帯主(親など)に一定以上の所得がある場合は納付猶予の対象外とし、保険料納付を求めることを検討してはどうか
(注)令和12(2030)年6月までの時限措置とされています。
●国民年金における任意加入の特例(高齢任意加入)
→ 任意加入の特例は、昭和40(1965)年4月1日(昭和39年度)までに生まれた者を対象とした時限措置であり、令和11(2029)年度には昭和40年4月1日生まれの者が65歳に到達
→ 令和4年度時点で利用者は約1,500人存在し、これまでの改正経緯等も踏まえ、引き続き保険料納付意欲がある者の年金受給の途を開くため、年金受給権確保の観点から、昭和50(1975)年4月1日(昭和49年度)までに生まれた者まで対象とする方向で検討
●公的年金シミュレーター
→ 現行の公的年金シミュレーターの保守、運用が令和7(2025)年度末で終了することから、以下の案により、令和8(2026)年4月から新たに運用を開始する予定の「次期公的年金シミュレーター」の開発を進めることとしてはどうか
→ 老齢年金については、現行の機能を維持する。さらに改善や追加を行うべき機能がないか、検討
→ 現行の老齢年金に加えて、障害年金等の試算機能、iDeCoの試算機能を追加
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
第18回社会保障審議会年金部会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20240920.html